発作の起こる原因を知っておこう
内耳の前庭器官の異常が原因で起きる
良性発作性頭位めまい症は、平衡感覚を感じ取る内耳の前庭器官の異常により引き起こされます。前庭器官とは、地面に対する頭の位置を感じ取ることができる器官で、耳石器と三半規管から構成されます。
耳石器には、水平の動きを感知する「卵形嚢」と垂直の動きを感知する「球形嚢」の2つの袋状のものが存在し、この中には多くの炭酸カルシウムでできた耳石と内リンパ液で満たされています。
耳石が内リンパ液の中を動くことによって、耳石の感覚毛が刺激されて、位置を感知できる仕組みになっています。
三半規管は内リンパ液で満たされていて、内リンパ液の働きにより、三半規管の感覚毛が刺激されて、色々な回転運動を感じることができます。
耳石がはがれて三半規管に入り込んでしまうと、頭を動かした際に耳石が働くことで、内リンパ液に流れが生じて、三半規管の感覚毛を刺激します。
頭の動きを静止させると、周囲を感知する視覚、手足の動きを感知する運動器から停止しているという情報が脳へ届きますが、内リンパ液がまだ働いているので、誤った情報が脳に送られてしまいます。そのことで、三半規管と視覚、運動器の情報のズレが起きてしまい、脳が混乱します。これにより、30秒ぐらい継続するめまいが起こります。
骨粗しょう症や運動不足が一因に
中年以降の女性に良性発作性頭位めまい症が多い理由としては、閉経によって女性ホルモンの分泌が原因で起こってしまう、骨粗しょう症が関係性があると考えられています。
骨粗しょう症
骨粗しょう症とは背に「ス」が入ってしまうことで骨の強度度下がる病気ですが、同じ時期に耳石も同様にもろくなって、はがれやすくなると考えられているので、はがれた耳石が三半規管に入り込むことで、めまいがおこります。
頭を打つような事故などでも、その衝撃で耳石がはがれ三半規管に入り、良性発作頭位めまい症の原因になることもあります。その他には、マッサージ器などによる振動でも耳石がはがれて、めまいを引き起こすことがあります。
また、運動不足気味で、体や頭を動かさずにいると、はがれた耳石が三半規管の中にたまって塊りとなります。そして何気なく頭を動かした際に耳石が移動し、そのことで内リンパ液が流れ、三半規管の感覚毛を刺激し、めまいが起きることがあります。
厚生労働省が発表している平成27年度の「国民健康・栄養調査」によれば、65歳以上で日ごろから運動の習慣がある人(1回30分以上の運動を週に2回以上行っていて、継続も1年以上ある人)は男性52%に対して女性は38%と、女性の方が運動不足が目立ちます。
このことにより、女性に良性発作性頭位めまい症が多いのは、骨粗しょう症になりやすいうえに、運動不足も重なっているからだと考えられます。
耳石がはがれて三半規管に入る原因
- 女性ホルモンの低下により骨粗しょう症
耳石がもろくなってはがれて、三半規管に入り込む
- 頭を強打する
ぶつけた衝撃で耳石がはがれ、三半規管に入り込む。
- 運動不足
体も頭も動かさないと、はがれた耳石が三半規管の中にたまり、塊りになる。